ベクトル入門

-電磁気学を学ぶために-

戻る 4.関数のグラディエント(勾配)

4-1 ナブラ演算子

偏微分演算子

  1. 多変数関数  f(x1,x2,...,xn)
  2. 関数fの変数xiについての微分係数  偏微分係数 ∂f/∂xi
    ¶ xi以外の変数をすべて定数と考えて計算した xiについての微分係数
  3. 偏微分演算子  ∂/∂xi
    (関数fへ演算子∂/∂xiをかけた結果)= 偏微分係数 ∂f/∂xi
  4. 数学的な記法  (∂/∂xi)f=∂f/∂xi

ナブラ演算子とその代表的な演算

  1. ナブラ演算子
    偏微分演算子のベクトル ∇
    ¶ 空間座標が基準;(換算係数×偏微分演算子)i を並べたもの。
  2. 一般の座標系(ξ123) の場合
    ((1/h1)∂/∂ξ1, (1/h2)∂/∂ξ2, (1/h3)∂/∂ξ3)
    ¶ 座標軸方向の傾き(変化率)
    ¶ 係数hi(i=1,2,3)は変数の微小な増分 Δξiを長さに換算
  3. デカルト座標系の場合  (∂/∂x, ∂/∂y, ∂/∂z)
    ¶ hx=hy=hz=1
  4. 3つの代表的な演算
    • グラディエント(勾配)
    • ダイバージェンス(発散)
    • ローテーション(回転)
  5. 数学的な記法  -グラディエント演算の例-
    grad f≡∇f=(∂f/∂x, ∂f/∂y, ∂f/∂z)

4-2 グラディエント(勾配)

数学的表現

  1. スカラー関数f(x,y,z)へナブラ演算子∇をかける
    grad f≡∇f=(∂f/∂x, ∂f/∂y, ∂f/∂z)
  2. 新たなベクトル  ∇f
  3. ベクトル∇fの元  各座標軸方向の関数fの傾き

いくつかの計算例

  1. f(x,y,z)=xyz
    ∇f=(yz,zx,xy)
  2. f(x,y,z)=r≡(x2+y2+z2) 1/2
    ∇f=(x/r, y/r, z/r)=(x, y, z)/r≡r/r
    ¶ よく使う公式

4-3 他の座標系におけるグラディエント(勾配)

極座標の場合

  1. 座標系 (r,θ,φ)
  2. 換算係数
    • h1=1
    • h2=r
    • h3=r sinθ
  3. グラディエント
    grad f≡ (∂f/∂r, (1/r)∂f/∂θ, (1/r sinθ)∂f/∂φ)
    ¶ よく使う公式

円筒座標の場合

  1. 座標系 (r,θ,z)
  2. 換算係数
    • h1=1
    • h2=r
    • h3=1
  3. グラディエント
    grad f≡ (∂f/∂r, (1/r)∂f/∂θ, ∂f/∂z)
    ¶ よく使う公式