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: 磁性の基本的理論と実験 : 磁性研究の歴史 : 磁石の強さ   目次

ミニ磁石

図 1.2: 磁石の(a) 縦割りと(b) 横割り
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\includegraphics[width=0.35\textwidth, clip]{tatewari.eps}
次に磁石の中身を少し細かく見てみよう.細長い棒状の磁石が一本あるとする.図1.2(a)のように,これを二つに縦割りにしたらどうなるだろうか.おそらく同じような棒磁石が二本できて,磁極の強さも半分になるだろう.これら二本の棒磁石のそれぞれを,また半分ずつに縦割りにしても同じことが起こるだろう.こうして次々に縦割りを続けていけば,棒磁石はどんどん細くなり,磁極も徐々に小さく,弱くなる.図1.2(b)のように,棒磁石を横割りに,すなわち,棒磁石の長さを半分にしても,またN・S極を備えた,まともな二本の棒磁石が得られる.

こうして磁石の中では,小さな磁石(ミニ磁石)がその方向を揃えて,縦横につながって並んでいると考えることができそうである.では鉄が磁化されてミニ磁石が整列する以前には,たくさんのミニ磁石はどうしていたのだろうか.実は磁化される前にも,このミニ磁石は整列はしていないが,存在していたのである.鉄の場合,もともとミニ磁石が無数に散らばっているのだが,そのN・Sの向きが全部バラバラで勝手な方向を向いており,全体としてみると,まとまった形のN極やS極は存在しないのである.


Masashige Onoda 平成18年4月11日