(1) 常磁性
で表される常磁性の
は2種類に大別される.一つはキュリー型の常磁性で,特にイオン結晶や絶縁体にしばしば現れ,
はほぼ次の温度依存性を示す.
他方,多くの金属・合金においては,図6.3(a)のようにその値が小さく,あまり温度に依存しないが現れる.これは結晶内を動き回っている電子に由来するもので,パウリの常磁性と呼ばれる.
(2) 強磁性
図6.3(a)に示すように,キュリー点以下()で自発磁化
を発生する.
では常磁性であり,
の
では
(3) 反強磁性
この物質では観測される磁化はで常磁性的であるが,
はある温度
でピークを示す(図6.3(c)).
はネール点と名づけられ,この温度以下では,磁気モーメントが結晶の中でお互いに逆に向いて整列している反強磁性状態が発生している.
の
は,上式のキュリーワイス型をもつが,
の延長から求められる
は一般に負温度である.磁性原子を含む希薄合金の中には,
が弱磁場で鋭いピークをもつが,低温側で反強磁性磁気配列をもたないスピングラスとよばれる物質もある.
(4) フェリ磁性
強磁性体と同様,以下で自発磁化
を発生する.
の形状は通常の強磁性のそれと異なることもある.
の
は直線的ではなく,図6.3(d)のように上方に凸な双曲線的形状を示し,
である.この双曲線の漸近直線は,反強磁性の場合と同様,一般に
の値を示す.
(5) 反磁性
反磁性は磁性原子を含まないイオン結晶(NaClなど)や共有結合物質(Geなど),半金属(SbやBi),そして若干の金属合金にも現れる.一般にその絶対値()は小さく,温度変化も少ない.例外として完全反磁性を示す超伝導体においては,外部磁場を試料の中に入れないことにより通常の反磁性の
〜
倍大きい反磁性帯磁率が現れ,超伝導状態の消滅する温度
で
は急激に小さくなる.