next up previous
: マイスナー効果 : 超伝導と遷移金属酸化物 : 超伝導と遷移金属酸化物

比熱の不連続性

図 3: 超伝導体における電子比熱の大雑把な振舞い
r0.45

\includegraphics[height=60mm, clip]{hinetsu.eps}
超伝導現象は物質に特有なある温度以下でだけ起こる.この温度を臨界温度あるいは転移温度といい,$T_{\rm c}$で表す.$T_{\rm c}$で何が起きているかを調べるために比熱を測定したところ,図3に示すように$T_{\rm c}$で不連続を示した.このことは,$T_{\rm c}$の上下で金属は違った相にあることを意味する.

たとえば,水と水蒸気は同じ物質であるが,液体と気体という違った相にあり,1 [atm;気圧],100 [℃]で互いに移り変わる.このとき潜熱(熱の出し入れ)を伴うが,超伝導の場合は潜熱はない.水の分子は,水蒸気の状態では自由に飛び回っているが,液体での分子の運動はかなり制限されている.これと同じように超伝導体でも,$T_{\rm c}$より上では電子は互いにばらばらの運動をしているのに対し,$T_{\rm c}$より下の超伝導状態になると,何らかの意味の秩序をもって運動していると考えられる.


Masashige Onoda 平成18年4月11日