実験物理と計算機

3学期 第6回 戻る 次へ

参考書
Unix計算機を使った物理学実験」(新井/板倉)
45〜47ページ
第6章、力学/天体物理(その3)

6-7、3体問題

3体問題の歴史

  1. 19世紀初頭、ニュートン力学の出現により<決定論>が定着
  2. 決定論
    予測の手順
    1. 系の初期条件: 時刻0でのすべての粒子の位置と速度
    2. ニュートンの運動方程式(微分方程式)
    3. 解析的な解法(積分)
    4. 系の状態:時刻tでのすべての粒子の位置と速度
  3. 決定論の有効範囲
    • 1体問題: OK
    • 2体問題: OK
    • 3体問題: 解析的な解法は、一般には不可→摂動論
      ニュートン自身も挑戦したが挫折
    • .....
  4. 数学的な証明
    「一般的に、3体問題は解析的には解けない。」

3体問題とカオス

  1. 決定論の世界: 1、2、たくさん
  2. 天才数学者ラプラスが3体問題へ挑戦(19世紀末)
  3. 挫折したが問題への別のアプローチを考案
  4. 結果をまとめた270ページの論文
    現在のカオス理論の基礎を築いた

カオスとは?

  1. 3体以上の系に特徴的な性質
  2. <初期条件に対する系の過敏性>の極端な現れ
  3. もう一つの不確定性原理
    「初期条件をいくら精度よくとっても、それが有限の精度である限 り、系の運動は時間とともに不確定の度を増して行く。」
  4. カオス的挙動
    力学系以外にも、乱流、気象、生物など、あらゆる分野で実験的に観察

軌道の予測

  1. 同一質量を持った3つの天体
  2. 重力の相互作用
  3. 対称性のある配置からわずかにずれた初期条件
  4. 初期条件の違いによる軌道の変化を調べる
  5. 運動方程式

6-8、研究課題IV -3体のカオス-

数値解法のヒント

  1. 位置と速度に対する初期条件が大事
  2. 一階微分方程式への変換