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: 固体内電子状態による磁気発生機構よりの分類 : 磁性体の分類 : 磁化および帯磁率の温度変化による分類   目次

磁気構造による分類

磁気構造とは,格子点上の磁性原子の磁気モーメント(電子スピン)の配列の仕方をいい,それは隣接する原子対のスピン間の交換相互作用の符号(同じ向きか,反対向きか)と結晶構造,そしてその物質の電子状態による.

(1) 常磁性

結晶格子点上のスピン磁気モーメントが空間的に乱雑な方向を向き,時間的にも動き回っている状態である.空間的には乱雑であるが,時間的に静止したものをスピングラスといい,合金において現れることもある.

(2) 強磁性(たとえば,Fe,Ni,Gd,CrO$_{2}$など)

格子点のスピンが揃って同じ方向を向く.

(3) 反強磁性(たとえば,MnO,MnF$_{2}$,FeSなど)

格子点を2種類の副格子に分け,各副格子上のスピンが逆向きに向いて,自発磁化は現れない.

(4) フェリ磁性

長さの異なったモーメントをもつ2種類以上の磁性原子が副格子点上で逆方向を向いて結合するもので,差し引きの自発磁気を生じる.

図 6.4: 磁気構造による分類例
\includegraphics[width=160mm, clip]{spin-config.eps}


Masashige Onoda 平成18年4月7日