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: 原子の常磁性 : 磁性体の分類 : 磁気構造による分類   目次

固体内電子状態による磁気発生機構よりの分類

(1) 局在モーメント磁性

イオン結晶など絶縁体に現れる磁性で,磁性原子またはイオンの磁気モーメントは原子上に局在し,交換相互作用のもとに種々の磁気構造を形成する.遷移金属元素の場合は,スピン磁気モーメントが主役で,整数個のスピン磁気モーメントをもつ.

(2) 遍歴電子磁性

結晶の中を動き回っている電子(遍歴電子)の示す磁性で,金属的導電性を示し,金属・合金や多くの化合物において見られる.それは固体のエネルギー帯の中の電子の示す磁性であるので,バンド磁性とか集団電子磁性とよぶこともある.通常の価数をもつ金属では弱い常磁性か弱い反磁性を示すが,遷移金属およびそれを含む物質では強い常磁性,弱い強磁性など種々の磁性が現れる.この場合,磁性原子当りの磁気モーメントの値は一般には整数値にならない.


Masashige Onoda 平成18年4月7日