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: 臨界磁場 : 基本的性質 : 比熱の不連続性   目次

マイスナー効果

マイスナー(Meissner)とオクセンフェルト(Ochsenfeld)は超伝導体内部の磁場の強さを測定することによって,冷却と磁場をかける順序に関係なく,超伝導体内の磁場はいつでもゼロであることを見出した(図7.4).すなわち,磁場$H$の中に置かれた超伝導体の内部での磁束密度$B$は,磁化を$M$とするとき,
$\displaystyle \mbox{\boldmath$B$} = \mbox{\boldmath$H$} + 4\pi \mbox{\boldmath$M$} = 0$     (7.2.1)

である.

超伝導体内部の磁場がゼロであるということは,超伝導体自身が外からの磁場を打ち消すように逆向きに磁化することである.普通の金属でもこのように外からの磁場と逆向きの磁化を持つものもあるが,その磁化は非常に小さい.超伝導体ではこの反磁性が非常に大きく,内部での磁場を完全にゼロにしてしまうので完全反磁性という.これをマイスナー効果と呼ぶ.

この完全反磁性は,外からの磁場を打ち消すように表面に電流が流れるためであり,電気抵抗がゼロであるのでこの電流はいつまでも流れる.したがって磁場は超伝導体内部ならばどこでもゼロというわけではなく,表面から非常に近い距離(十分低温で10$^{-5}$〜10$^{-6}$ [cm])だけは内部に入りこんでいる.以上は磁場があまり強くない場合の話である.

図 7.4: 超伝導体のまわりの磁力線
\includegraphics[width=0.8\textwidth, clip]{jiryokusen.eps}
図 7.5: 磁束が超伝導リングに捕えられる様子
\includegraphics[width=0.8\textwidth, clip]{ryoushika.eps}
 


Masashige Onoda 平成18年4月7日