: 酸化物高温超伝導体
: 超伝導と遷移金属酸化物
: 超伝導と遷移金属酸化物
目次
LiTiOあるいはBa(PbBi)Oで代表される従来の酸化物超伝導体は,電子濃度が〜 [/cm]で,金属間化合物超伝導体と比べて3桁近くも低く,しかもそのが格子欠陥濃度や組成に著しく敏感である.一般に,低電子濃度超伝導休のは電子濃度とともに増加するので,酸素欠陥に起因する電子濃度の微妙な変化によりが大きく変動するのだろう.ところでLiTiOはスピネル型酸化物の一つであり,低温比熱などの測定からBCS理論で矛盾なく記述できる超伝導体であることがわかっている.一方ペロブスカイト型酸化物に属するSrTiOやBa(PbBi)Oでは,単一相の良質試料を作成することが困難なせいもあり,超伝導の起源などはまだ十分に理解されているとはいえない.ペロブスカイト型MTOとスピネル型MTOの結晶構造は,図7.8に示すように,遷移金属元素Tが6個の酸素原子のつくる八面体の中心を占め,その八面体がドナー元素Mによって結ばれていると考えることもできる.Ba(PbBi)OやLiTiOでは組成比を変えてゆくと金属から絶縁体に転移し,その転移の起こる組成の近傍で,が最高値を示すことが知られている.
Masashige Onoda
平成18年4月7日