: 積分形のガウスの法則
: 積分形のガウスの法則
: 積分形のガウスの法則
ここからしばらくは電磁気学をはじめとする物理学で頻繁に用いられる数学的手法を説明することになる.あまり馴染みのない演算子などが出て,ハードルが高く見えるかもしれない.戸惑うところもあるかと思うが,自ら学習して早く馴れてください.
二個のベクトル,があるとき,そのスカラー積または内積を,
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(1.2.19) |
と定義する.ここではベクトル間の角度である.(1.2.1)式は方向をもたず大きさだけで指定される量で,スカラー量という.因みに物理で現れる「仕事」は,力 変位 cosで与えられるが,これは変位の方向に射影した力の成分に変位をかけたものとして考えられる.
今,図1.5のような直交座標系を考える.,,軸方向に関する基本ベクトルを,それぞれ,,,ベクトルのそれぞれの座標軸の方向の成分を(,,)とおくと,は,
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(1.2.20) |
と書ける.基本ベクトルには,
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(1.2.21) |
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の関係があるので,(1.2.1)式は,
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(1.2.22) |
とも表すことができる.
以上より,ある方向の単位ベクトルをと書くとき,スカラー積はベクトルの方向の成分を与えることがわかる.これをと書けば,
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(1.2.23) |
となる.勿論,はととの間の角度である.また,
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(1.2.24) |
である.
図 1.6:
における面上の微小面,そこでの電場()と法線ベクトル()
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空間内のすべての点で電場()が与えられているとしよう(図1.6).空間内にある曲面を考え,その面上の点にに垂直に立てた単位ベクトルを()とする.その曲面を細かく分割し,その上で()()の和をとってみよう.これは,における面上の微小面の面積をとすると,
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(1.2.25) |
の形で表される.上の微小面を無限小にしたとき,その極限値が分割の仕方に無関係に一定値に収束する場合には,
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(1.2.26) |
と書くことができる.これを面積分という.(),()の成分を,それぞれ
と書けば,(1.2.8)式は,
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(1.2.27) |
となる.上式の最終項の積分は具体的には,
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(1.2.28) |
と書ける.ここでは()と軸とのなす角度であり,cosは図1.6で定義されたに等しい.また最終式では,局面が = (, )で与えられるとしたため,積分範囲を曲面から面へ投影したときの領域に変更している.
: 積分形のガウスの法則
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Masashige Onoda
平成18年4月15日