第2種超伝導体の磁気的性質が複雑なことは,超伝導と常伝導の部分が接しているときの表面エネルギーを考えてみるとわかる.
は(7.8.2)式によると
円筒形の超伝導体を考え,軸に平行な磁場をかけたときの,円筒内部の磁束密度
がどうなるかを考える.第1種超伝導体では,表面エネルギーが正であるため,
に達するまでは
で完全なマイスナ−効果を示し,
以上では常伝導状態に戻って
になる.第2種超伝導体では表面エネルギーが負であるため,
より小さい
で内部に常伝導の部分ができはじめ,磁場が内部に侵入しはじめ
になる.
より磁場を強くしていくと,常伝導の部分がだんだん増えていって
も増大するが,
が
に達してもなお超伝導の部分が残り,
は
より小さい.超伝導の部分が完全になくなるのは,
より大きい
に達したときで,それ以降は
になる.
なお以上の磁場で,試料の大部分は常伝導になっても,なお試料の表面の約1000 Åの厚さの層は超伝導状態にあり,表面を通る電流の電気抵抗はゼロになっている.この表面の超伝導状態のなくなる磁場を
と書く.
は
の約1.69倍である.
以下ではこの第2種超伝導体の性質を,GL方程式を用いて説明する.