: 励起状態とエネルギーギャップ
: BCS理論
: BCS理論
目次
電子間の相互作用がフェルミ面付近では引力になっていると仮定する.ハミルトニアンとして,
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(7.11.81) |
をとる.
,
は,それぞれ運動量
,スピン
(
,
)の電子の消滅および生成演算子を表す.すなわち,
を満たす.
基底状態の波動関数として,
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(7.11.82) |
をとろう.ここで
は真空状態を表す.
,
は,
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(7.11.83) |
の関係を満たす.(7.11.2)式では全電子数は一定でないので,その平均値がある一定値
に等しいとする.すなわち,
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(7.11.84) |
とおく.
が規格化されていることは,
のように確かめられる.
(7.11.2)を用いて,エネルギーの期待値,
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(7.11.86) |
を計算してみよう.
のかかる項は,(7.11.4)の条件から,
で表される.
の第2項の期待値では,
=
,
=
という項と,
= 0,
,
は任意という項と,
=
,
=
の項だけが残る.後ろの2項は,
の第1項と同じ形をしているので,相互作用は小さいと仮定して無視する.こうして,
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(7.11.87) |
(7.11.7)式を(7.11.2)式の条件下で最小にする.
であるから,
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(7.11.88) |
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(7.11.89) |
を得る.(7.11.8)式と(7.11.2)式を,
,
に関して解くと,
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(7.11.90) |
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(7.11.91) |
となる.これらを用いて(7.11.9)式を書き直すと,
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(7.11.92) |
となる.
次に相互作用について,
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(7.11.93) |
の仮定をする.ここで
とする.(7.11.13)式を仮定すれば,(7.11.9)で与えられる
は
に依存しないので,
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(7.11.94) |
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(7.11.95) |
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(7.11.96) |
となる.
は,
という状態についての和をとるという意味である.
についての和を
についての積分に置き換える.
の状態密度を
とすれば,
の置き換えをすればよい.
はフェルミ面
の近くでは緩やかな変化をしていると考えられるので,(7.11.16)を次式で近似する.
したがって,
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(7.11.97) |
を得る.
(7.11.10)式の
,
を用いて,(7.11.7)の基底状態を計算すると,
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(7.11.98) |
となる.
は,
のときの(常伝導状態の)エネルギーである.
1/
より,
1であるので,(7.11.17),(7.11.18)式は,
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(7.11.99) |
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(7.11.100) |
のように近似される.
(7.11.10)より,
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(7.11.101) |
である.
は,フェルミエネルギーより十分低い所で1,十分高い所でゼロであり,有限温度での常伝導金属のフェルミ関数に似ている.
(7.11.19),(7.11.20)式から,
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(7.11.102) |
となるが,これが
における凝縮エネルギーである.このエネルギーが
に等しくなるはずである.
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: BCS理論
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Masashige Onoda
平成18年4月7日