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: ミニ磁石 : 磁性研究の歴史 : 磁石のもつ基本的性質   目次

磁石の強さ

1820年,エルステッド(Oersted)は,電流の磁気的な振舞いを発見した.これは,電流が流れている導体の近くへ磁針を近づけると,磁針が南北を指さなくなるというものであった.すなわち,電流が流れている導体の近くには,磁力線が現れ,図1.1(b)のような磁場が発生している.

鉄の心にコイルを巻いた電磁石の場合も,磁石のものとよく似た磁力線ができる.コイルは中に鉄心が入っていなくても,電流を流すと磁石になるので,鉄心は,コイルによる磁力線の通っている場所に置かれていることになる.すなわち鉄心が磁石になることを意味する.コイルに流す電流を大きくしていくと,電磁石の強さも強くなるだろう.電磁石の強さとは,コイルの心になっている鉄が磁化されてできた磁石の強さのことである.

電流をどんどん増やしていけば,鉄心の磁化はどこまでも強くなっていくのだろうか.実はそうではない.磁石の強さは,コイルの電流が小さい間はあまり強くない.電流がある程度大きくなると,磁石の強さは急に増しはじめる.しかし,電流がある大きさになると磁石の強さは頭打ちになり,その後は電流をいくら大きくしても,磁石の強さは変わらなくなる.このことを磁石の強さが飽和したという.


Masashige Onoda 平成18年4月11日