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試料合成

原料として表1にあるY$_{2}$O$_{3}$,BaCO$_{3}$,CuO,Cuを用いる.YBa$_2$Cu$_3$O$_{7}$及びYBa$_2$Cu$_3$O$_6$の合成は以下の化学反応式
$\displaystyle \mbox{Y$_2$O$_3$} + 4\mbox{BaCO$_3$} + 6\mbox{CuO} + \frac{1}{2}\mbox{O}_{2}$ $\textstyle \longrightarrow$ $\displaystyle 2\mbox{YBa$_2$Cu$_3$O$_{7}$}
+ 4\mbox{CO$_2$} \uparrow$ (3.2)


$\displaystyle \mbox{Y$_2$O$_3$} + 4\mbox{BaCO$_3$} + 5\mbox{CuO} + \mbox{Cu}$ $\textstyle \longrightarrow$ $\displaystyle 2\mbox{YBa$_2$Cu$_3$O$_6$}
+ 4\mbox{CO$_2$} \uparrow$ (3.3)

に基づく.

表 1: 使用試薬
試料名 仕様 製造元
Y$_{2}$O$_{3}$ 粉末 純度99.9 % 高純度化学研究所
BaCO$_{3}$ 粉末 純度99 % 和光純薬工業
CuO 粉末 純度99.9 % 高純度化学研究所
Cu 粉末 純度99.9 % 高純度化学研究所

  1. (3.1),(3.2)式を満たすように試薬を計量し,乳鉢で偏りが無いように混合する.
    ※今回の実験では1人1枚のペレットがあれば充分なので,1人分の試料が約0.7 [g]程度になるように秤量すること.
  2. 混合物をアルミナるつぼに入れ,電気炉に入れる.YBa$_{2}$Cu$_{3}$O$_{7}$の焼成は全て空気中で行い,YBa$_{2}$Cu$_{3}$O$_{6}$は窒素雰囲気中で行う.仮焼として電気炉の温度を4.5時間で900 [℃]まで上昇させ12時間保持した後,室温に戻す.
    ※電気炉の温度の昇降と保持は電気炉用温度コントローラーにプログラムを入力することで行われる.
  3. 仮焼によって得られた混合物を粉砕混合する.
  4. 粉砕混合した物質を加圧容器(超硬圧粉治具)加圧容器に入れ,圧力200 [kg cm$^{-2}$]で,ペレット状に成形する.
    ※加圧には油圧ポンプをを用いる.加圧の際,加圧容器やシリンダーに無理な負荷がかからないように注意が必要である.
    ※ペレットの厚みは入れる試料の量で決まる.
  5. 芯抜き用治具によって加圧容器からペレットを取り出す.
  6. ペレットをアルミナるつぼに入れ,電気炉で本焼成する.本焼として電気炉の温度を約4.5時間で930 [℃]まで上昇させ24時間保持した後,15時間で870 [℃]まで下げ,室温に戻す.


Masashige Onoda 平成18年4月11日