実験物理と計算機

3学期 第9回 戻る 次へ

参考書
Unix計算機を使った物理学実験」(新井/板倉)
47〜49ページ
第7章、分子運動論/ブラウン運動

7-1、ボルツマン分布則 -衝突・緩和モデル-

ボルツマン分布則の特徴

  1. 平衡状態にある気体分子の速度分布を表す
  2. 平衡状態
    ミクロな立場でみると<変動状態>;マクロな立場でみると<定常状態>
  3. マクロな定常状態では、平均値や分散などの統計量が時間的に一定
  4. 分子同士の衝突は常に起る;<変動?>
    平均値や分散などの統計量には影響しない!
  5. ボルツマン分布則は衝突によって変化しない究極の分布

衝突・緩和モデルのシナリオ

  1. 非常に片寄った速度分布から出発
  2. 時間がたつにつれて、多数回の衝突が起こり、速度分布が変化
  3. 充分長い時間経過の後には、速度分布が変化しなくなる;<平衡状態>
  4. 時間とともに安定状態(<平衡状態>)に落ち着く;<緩和現象>

キー・ポイント

  1. 熱力学第2法則「<エントロピー>の増大」
  2. 平衡状態は<エントロピー>が最大の状態
  3. 平衡状態は一種の<アトラクタ>
  4. ランダムなエネルギー交換機構の存在が本質的

7-2、研究課題I -ボルツマン分布則-

数値解法のヒント

  1. 粒子数は2,000個
  2. 初期状態では、分子のエネルギーは全て同じ;E=(3/2)kBT
  3. 初期状態では、速度の方向は全くランダム
  4. 運動量空間内でランダムに遭遇し、衝突を起こす
  5. 座標空間内での運動は簡単のため考えない