物理学BI

1学期 第5回 戻る 次へ

参考書
「電磁気学I」 4.導体 (84-105頁)
「物理学の基礎[3]」 25 電位(続) (53-72頁)
「物理学 III」 25 電位(続) (713-723頁)

4-1 導体内の電場

ミクロとマクロ -二つの視点-

  1. ミクロの視点  複雑/理解が困難
    • 物体は原子/分子の集合
    • 原子/分子は電子/原子核の集合
  2. マクロの視点  単純/理解し易い
    • ミクロの複雑さに目をつむる
    • 粗視化による平均描像の抽出
      ¶ 平均描像は有効!
OHP-1

平均電荷密度

  1. 平均電荷密度  ρ(x,y,z)
    ¶ 点(x,y,z)近傍の微少体積dvについて平均
  2. dv内の電荷  ρ(x,y,z)dv=(n+-n-)e
  3. 電場はρ(x,y,z)dvの作る電場の重ね合わせ
OHP-2

導体内の電場と電荷の移動(電流)

  1. キャリア  <電場の力を受けて移動>
    • 金属では自由電子
    • 液体/気体では正負イオン
  2. 電流  <正電荷の移動に置き換え>
    ¶ 実際はキャリアの種類によって違う
OHP-3

4-2 導体の電位

導体の内部  -電流のない場合-

  1. 電場はゼロ
  2. すべての点が等電位
  3. 接触電位差  <異なる種類の導体の接触>
    ¶ 接触電位差の原因は様々で複雑

4-3 静電誘導

導体と誘導電荷

  1. 正に帯電した物を近付けると 誘導電荷が発生
  2. 誘導電荷  <近い側に負電荷、 遠い側に正電荷>
    ¶ 負に帯電の場合は逆になる
  3. 導体内の電場  <いたるところで 電場ゼロ
  4. 導体中の電荷の移動  <一瞬>
    ¶ すぐ電流のない状態になる
OHP-4

4-4 導体で囲まれた空間S内の電場

電荷のない場合

  1. 導体の内壁  <等電位面>
  2. 電位  <ラプラスの方程式>
  3. すべての点は等電位  <導体と同電位>
OHP-5

電荷のある場合

  1. 導体の内壁  <等電位面>
  2. 電位  <ポアソンの方程式>
  3. 電位分布が生じる
OHP-6

電気遮蔽

  1. 電荷がなければ、S内は等電位
  2. 導体外部から電荷を近付けても、 S内の電位は変らない
  3. S内に電荷があっても、 導体外部の電位は変らない
OHP-7

4-5 導体上の電荷分布

電荷分布  -ガウスの法則からの帰結-

  1. 導体中では電場ゼロ、電荷密度ゼロ
  2. 外部空間と内部空間にだけ電場が存在
  3. 表面を境に電場は不連続
  4. 電荷  <内側/外側表面にだけ分布>
    ¶ 電場の切れ目には電荷が存在
OHP-8

4-6 電気力管の両端

導体表面と電気力管

  1. 電気力管は表面で切れる  <始端/終端>
  2. 表面は等電位面  <電気力管は表面に垂直>
  3. 電気力管の始端/終端の電荷  <等しい大きさ、反対符号>

4-7 導体表面付近の電場

導体表面と電場

  1. 電場は表面で途切れる
  2. 電場は表面に垂直
  3. 表面電荷密度  σ
  4. クーロンの関係式

    enは法線ベクトル
OHP-9

宿題

提出フォーム

導体と境界条件

原点O(0,0,0)を中心とした半径Rの導体球に電荷+Qを帯電させた。
  1. 点Oを中心とする半径r( ≧ R )の球面を考える。球面上の点Pにおける 電場ベクトルをE(r)、球面の微小面積素片をdSとして、ガウスの法則 を書きなさい。
    ヒント: 球面の法線ベクトルはr/r。
  2. 電場ベクトルE(r)を求めなさい。
    ヒント: 対称性から電場ベクトルE(r) は球面に垂直。
  3. 導体表面の電荷密度σを求めなさい。
    ヒント: 対称性から導体表面の電荷分布は 一様分布。
  4. 電荷密度σを使って導体表面の電場ベクトルES を求めなさい。また、ベクトルESE(R)が一致す ることを示しなさい。
    ヒント: 導体表面を挟む底面積dSの微小円柱を 考え、ガウスの法則を応用。

導体と静電誘導

原点O(0,0,0)を中心とした半径Rの導体球の内側に半径R'(<R)の同心の空洞を 作り、点Oに電荷+qを置いた。このとき、導体球内側表面には静電誘導によりq' の誘導電荷が生じた。
  1. 点Oを中心とする半径r'(R'<r'< R)の球面を考える。球面上の点P' における電場ベクトルをE(r')、球面の微小面積素片をdS'として、 ガウスの法則を書きなさい。
    ヒント: 球面の法線ベクトルはr'/r'。
  2. 点P'は導体内部の点なので、電場ベクトルE(r')はゼロとなる。 導体球内側表面の誘導電荷q'を求めなさい。
    ヒント:球面内部の全電荷はq+q'。