物理学BII

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参考書
「電磁気学II」 11.電流と磁場(続々) (39-56ページ)
「物理学の基礎[3]」 30 電流がつくる磁場 (170-180ページ)

12-5 アンぺールの法則

磁場Hの線積分

  1. 磁場中の閉曲線 s
  2. s に沿って、磁場Hを周回積分
  3. アンぺールの法則
    -積分形-

    s を貫く電流 i
OHP-1 OHP-2 OHP-3 OHP-4 OHP-5

応用例 -無限に長い直線電流 i から距離rの点の磁場H-

  1.  i をz軸とする円筒座標で考える
  2. H = (Hr , Hθ , Hz
  3. Hは i を中心軸とする円周の接線方向
    Hθ以外はゼロ
  4.  i を中心軸とする半径rの円周に沿って周回積分
    2πrHθ
  5. アンぺールの法則
    2πrHθ = i
  6. H = (0 , 1/2πr , 0)
OHP-6

12-6 ソレノイドの作る磁場(続)

中心軸上以外の点Pでの磁場Hの向き

  1. 点Pを含む垂直断面について反転
    ¶ i = -i となる
  2. もとのものと反転したものとを合成
    ¶ i = 0なので、合成磁場はゼロ
  3. Hは中心軸(x軸)方向 の成分のみを持つ

ソレノイド内部の点Pでの磁場Hの大きさ

  1. 中心軸上の磁場:H0 = ni ex参照点
  2. 長方形の経路 ABCD
    • 中心軸上の線分AB
    • 点Pを通りABに平行な線分CD
  3. 長方形の経路ABCDにアンぺールの法則を適用
  4. 経路ABCDは電流を含まない
    H0 dx - H dx = 0
    ¶ AB = CD = dx
  5. H = H0 =  ni ex
    ¶ 磁場Hソレノイド内部でH0(どこでも同じ)

ソレノイド外部の点P'での磁場Hの向きと大きさ

  1. 中心軸上の磁場:H0 = ni ex参照点
  2. 長方形の経路 ABC'D'
    • 中心軸上の線分AB
    • 点P'を通りABに平行な線分C'D'
  3. 長方形の経路ABC'D'にアンぺールの法則を適用
  4. 経路ABC'D'は電流 ni dxを含む
    H0 dx - H dx =  ni dx
    ¶ AB = CD = dx
  5. H = H0 -ni ex = 0
    ¶ 磁場Hソレノイド外部でゼロ
OHP-7 OHP-8 OHP-9

12-7 電流密度

広がりを持った導体内の電流

  1. 電流密度 J
    • 流れの垂直断面を通過する単位面積あたりの電流
    • ベクトル J = ( Jx , Jy , Jz )
  2. アンぺールの法則
    -微分形-
    J = rotH
OHP-10 OHP-11

12-8 rotの特性

事例1:回転する平面

  1. 回転中心を原点Oとするxy平面を考える
  2. 回転の角速度 ω
  3. 速度場 V(x, y, z)
  4. 点P(x, y, 0)において
    • V = (-ωy, ωx, 0)
    • rotV = 2ωez

事例2:回転する流体(水)

  1. z軸を回転軸とする
  2. 「速度Vは回転軸からの距離に反比例する」と仮定
  3. 速度場 V(x, y, z)
  4. 点P(x, y, z)において
    • V = (-cy/r2, cx/r2, 0)
      ただし、r=(x2+y2)1/2
    • rotV = 0
電磁気学のためのベクトル入門9

宿題

提出フォーム

rot 演算子

次の式を証明せよ。
  1. rot (grad V(x,y,z)) = 0
    ヒント:公式を利用
  2. div (rotA(x,y,z)) = 0
    ヒント:公式を利用
  3. 12-8節の事例1においてrotV = 2ω ez
    ヒント:公式を利用
  4. 12-8節の事例2においてrotV = 0
    ヒント:公式を利用;
       また、∂(y/r2)/∂y=1/r2-2y2/r3
       および∂(x/r2)/∂x=1/r2-2x2/r3
       を使う。