物理学BII

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参考書
「電磁気学II」 14.磁性体 (80-111ページ)
「物理学の基礎[3]」 32 物質の磁性 (210-228ページ)

14-1 原子の磁気モーメント

電子の公転による磁気モーメント

  1. 複数の電子が原子核を中心に公転運動
    dm1, dm2, ...
    ¶ 軌道運動による磁気モーメント
  2. 原子の磁気モーメント
    -重ね合わせの原理-
    dm = dm1+dm2+ ...
    ¶ 全磁気モーメント
  3. 磁位

    ¶ 原子からr(>>原子のサイズ)離れた点
OHP-1

電子の自転による磁気モーメント

  1. 電子〜「負に帯電した金属球」
  2. スピン磁気モーメント
  3. 量子論的状態
  4. ある決まった正負の2値をとる
OHP-2

14-2 磁化の強さ

巨視的物体における磁気モーメントの取り扱い

  1. 粗視化が必要 <局所的な平均値>を採用
  2. 磁化/磁化の強さM (x, y, z)

    ¶ 単位体積あたりの磁気モーメント
  3. 磁気分極
    Pm = μ0 M
    ¶ 磁束密度への換算
  4. 「磁化する」ことの意味
    M=0 → M≠0
  5. 磁性体 -磁化する物体-
    • 強磁性体
    • 常磁性体
    • 反磁性体
  6. 磁性体内の磁束密度B
    B = B0+Pm
    ¶ ガウスの法則 divB = 0
  7. 等価電流  di'
    • (面積 dS × 厚さ dh)の部分に注目
    • 磁気モーメント
      M dS dh
    • 面積 dS の環状電流 di' の磁気モーメント
      di' dS n
    • 等価電流
      di' = M dh
OHP-3 OHP-4 OHP-5

14-3 一様に磁化された磁性体による磁束密度

事例1:軸方向に一様に磁化された円柱

  1. 厚さ dh の軸に垂直なスライスに注目
  2. 等価電流 di' = M dh
  3. 単位長さあたり巻き数 n 、電流 i のソレノイド
    di' = ni dh
  4. ni = M のソレノイドに等しい
    • 内部:B' = μ0M
    • 外部:B' = 0
OHP-6

14-4 磁性体内の磁場の強さ

アンぺールの法則の拡張

  1. 磁性体を貫く閉曲線 s
  2. 磁性体を等価電流に置き換え
    -Bについてのアンぺールの法則-

    ¶ 真空中では B についても成り立つ
  3. 磁性体内の磁場の強さH
    μ0H = B - μ0M
    ¶ 「磁化力」;外部電流による磁場
  4. 拡張されたアンぺールの法則
OHP-7 OHP-8

14-5 磁化率、透磁率

磁性体と誘電体との類似

  1. HMの関係  ⇔  EPの関係
  2. 磁化率 χm
    M = χm H
  3. 磁束密度
    B = μ0(1+ χm)H
  4. 相対透磁率 μr
    μr = 1+ χm
  5. 透磁率 μ
    B = μH
    ¶ μ = μ0(1+ χm) = μ0μr
OHP-9


宿題

提出フォーム

磁性体による磁束密度

磁性体円盤の作る磁束密度について次の設問に答えよ。
  1. 強さMで一様に磁化された半径r、厚さdhの磁性体円盤が、 中心軸上、N極側に中心から d 離れた点に作る磁束密度を求めよ。
    ヒント: 等価電流 di' = M dh なので、電流 di' 、半径 r のコイルと同じ。12-1の公式を利用。
  2. この結果を用いて、内半径a、外半径b、厚さdhの円環状の磁性体円盤が 同じ点に作る磁束密度を求めよ。
    ヒント: 強さMで磁化された半径 b の円盤と強さ-Mで磁化された半径 a の円盤を合成すると円環状の円盤になる(重ね合わせの原理の応用)。