物理学BII

2学期 第10回 戻る 次へ

参考書
「電磁気学II」 18.電磁波 (191-228ページ)
「物理学の基礎[3]」 34 電磁波 (165-291ページ)

18-1 電気振動

放電による振動電流の発生

  1. スパークギャップ
    • 2つの導体棒を狭い隙間で向き合わせたもの
    • 導体棒に電圧をかけると一時的に火花放電
    • 放電中は短い周期の振動電流が流れる
  2. 火花放電の原理
    • 導通
      電子雪崩による急速なイオン化と火花放電
      ¶ 隙間が一時的に導体になる
    • 絶縁
      イオンと電子の再結合による緩やかな脱イオン化
      ¶ 隙間が再び絶縁体に戻る
  3. 振動電流の周期
    • 導体棒の浮遊インダクタンスと浮遊容量で決まる
    • 極めて短い周期
      ¶ LCR直列回路の減衰振動の周期は2π(CL)1/2
  4. 導線を流れる振動電流の特徴
    • 電流の変化によって、磁束が変化
      ¶ 磁束線は導線の軸を中心とする同心円
    • 電磁誘導により、磁束の変化を妨げる向きに起電力が発生
    • 電流が増加する場合
      • 電場の向きは、中心部では電流とは逆向き
      • 電場の向きは、周辺部では電流と同じ向き
      ¶ 電流が減少する場合は逆
    • 表皮効果
      電流は表面付近を多く流れる
OHP-1 OHP-2

18-2 変位電流

振動電流の特異性

  1. 振動電流では導線上の位置によって電流が異なる
  2. アンペールの法則はそのままでは適用不可
  3. マックスウェルの考え
    導線中に貯まる電荷量の変化 = 取り囲む閉局面を通る電束の変化
  4. ガウスの法則
  5. 変位電流
    dΨ/dt
  6. 全電流
    C = i + dΨ/dt
OHP-3 OHP-4

アンペール-マックスウェルの法則

  1. マックスウェルの予測が的中!
  2. アンペールの法則の拡張
  3. 「変位電流」は一般法則に至るための作業仮説
OHP-5

18-3 マックスウェルの基礎方程式(積分形)

アンペール-マックスウェルの法則(一般の場合)

  1. 空間的に広がった電流
  2. 媒質は導体/誘電体
  3. 電流 i → 電流密度 J
  4. 閉曲線sを縁に持つ曲面Sについて
    • 電流
    • 全電束
    • 全電流
  5. アンペール-マックスウェルの法則
OHP-6

マックスウェルの基礎方程式(積分形)

  1. ファラデーの法則
  2. アンペール-マックスウェルの法則
OHP-7

18-4 マックスウェルの基礎方程式(微分形)

積分形から微分形への変換

  1. 微分形:局所的な性質
    Cf. 積分形:大域的な性質
  2. ストークスの定理
  3. マックスウェルの基礎方程式(積分形)へ適用
  4. 閉曲線sを極めて小さくする(S → dS)
  5. マックスウェルの基礎方程式(微分形)

    ¶ 任意のdSについて成立するための条件
  6. 静電磁場の基礎方程式

  7. マックスウェルの基礎微分方程式


    ¶ 通常、マックスウェル方程式と呼ばれる
OHP-8 OHP-9 OHP-10

18-5 完全導体

完全導体の内側と外側

  1. 内部ではEがゼロ
  2. Eは境界面に垂直
  3. 内部では∂B/∂t=0
  4. 変動電流は表面だけを流れる
  5. 変動成分について
    • 内部でEBがゼロ
    • Eは境界面に垂直
    • Hは境界面に平行

18-7 平面電磁波

絶縁体中の平面電磁波

  1. J = 0
  2. 平面電磁波
    • 進行方向はz軸方向
    • 電場
      E(z,t) = (E(z,t), 0, 0)
    • 磁場
      H(z,t) = (0, H(z,t), 0)
    EHezは互いに直交
  3. マックスウェルの基礎微分方程式
  4. D = εEB = μH
  5. 波動方程式
  6. 電磁波
    • 伝搬速度(光速)
    • 真空中の光速
OHP-11 OHP-12 OHP-13

18-8 一般電磁波

絶縁体中の一般電磁波

  1. J = 0
  2. D = εEB = μH
  3. マックスウェルの基礎微分方程式
  4. 波動方程式
OHP-14

18-9 電磁波の性質

一般的性質

  1. 相伴:EBは相伴う
  2. 横波
    • 進行方向に対して、EBも垂直
    • EB
  3. 同一位相
    EBは同じ位相で変動
  4. E,B,c(電磁波の速度ベクトル)
    互いに垂直な3つのベクトル
    E×Bcの向き

18-11 ポインティング・ベクトル

電磁エネルギーの伝搬

  1. 電場と磁場のエネルギー密度
  2. 両者は等しい
  3. ポインティング・ベクトル
    P = (1/μ)E×B
    Pは電磁エネルギーの伝搬を表す


宿題

提出フォーム

ポインティング・ベクトル

18-7の平面波について、以下の設問に答えよ。
  1. ポインティング・ベクトルPを求めよ。
    ヒント:公式を使う。
  2. PEHに対して直交することを示せ。
    ヒント:スカラー積がゼロのとき直交。
  3. 関係式(1/2)εE2=(1/2)μH2= u(z-ct) が成り立つ。Pをu(z-ct)で表せ。
    ヒントEHをu(z-ct)で 表して代入。
  4. Pが電磁エネルギーの伝搬を表すことを示せ。
    ヒント:電磁場のエネルギー密度は2u。 Pの大きさが2cuであることを示す。また、c=(εμ) -1/2