: BCS理論の概要
: 超伝導と遷移金属酸化物
: 完全反磁性の現象論
目次
特に第2種超伝導体の熱力学的性質,磁気的性質をうまく記述する方程式が1950年にギンツブルグ(V. L. Ginzburg)とランダウ(L. D. Landau)によって提唱された.
超伝導と常伝導との転移は,磁場のないときは2次の相転移である.これを現象論的にとらえるにはオーダーパラメーターを用いると便利で,エネルギーギャップあるいは超伝導電子数がそれに相当する.すなわち複素数であるという量を考え,
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(7.5.20) |
とおく.磁場がないときの自由エネルギーは,
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(7.5.21) |
で表される.,は,それぞれ超伝導状態,常伝導状態における自由エネルギーである.さらに磁場があるときのの空間的な変化を考慮に入れて,自由エネルギーの中に
の項を加える.この項は量子力学における運動エネルギーの形と同じなので,
と書き換える.ここで
は磁場があるときの効果である.また反磁性の効果(7.3.1)式も含めれば,自由エネルギーは
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(7.5.22) |
と書ける.この式に対して,および
に関する変分をとると,
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(7.5.23) |
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(7.5.24) |
を得る.
以下ではを量子力学的な波動関数と考え,はその点における超伝導電子の密度に等しいと考える.磁場ゼロで電流のない場合,すなわち
,
の場合を考える.このときはの場所による変化
であるから,そのときのをと書くと(7.5.4)式は
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(7.5.25) |
となる.したがって
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(7.5.26) |
となる.で,でとなるためには,
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(7.5.27) |
であり,はとともに温度によらない正の定数であればよいことがわかる.すなわち,
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(7.5.28) |
となり,エネルギーギャップの付近での振舞いに一致する.(7.5.2)式に(7.5.7)式の有限解を代入すると
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(7.5.29) |
となり,これから
であるためにはは正でなければならない.(7.5.10)式を(7.3.1)式と比べると臨界磁場は
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(7.5.30) |
と書けることになる.(7.5.8)式を入れればの温度変化を再現できる.
次にある点でのがと違った値をとったと考える.そのときは空間的にどのように変化するであろうか.(7.5.4)式で
とおき,
とおくと
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(7.5.31) |
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(7.5.32) |
となる.の空間的な変化の仕方はによって決まり,が温度におけるコヒーレンス長になる.(7.5.11)式より
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(7.5.33) |
と書ける.
電流の式(7.5.5)は,の変化の仕方が小さく,
とおけるときは,
とおいて
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(7.5.34) |
となる.これの両辺のrotをとったものがロンドン方程式に相当する.の空間変化は,だいたいの程度の距離で起きるから,
であり,これが小さいということは,が大きいことにほかならず,第2種超伝導体の場合となる.
(7.5.15)式またはロンドン方程式では
という磁場の侵入距離が,磁場の変化を決める距離になっている.この
の温度変化もと同様に
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(7.5.35) |
の形をとる.
GL方程式は二つの特徴的な長さと
を含み,それの大小関係によって磁気的性質も変わり,第1種と第2種超伝導体との区別をもたらす.そこで
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(7.5.36) |
というパラメーターを導入すると,これが1に比べて大きいか小さいかによって第1種と第2種とに区別されることになる.このをGLパラメーターとよぶ.
: BCS理論の概要
: 超伝導と遷移金属酸化物
: 完全反磁性の現象論
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Masashige Onoda
平成18年4月7日