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ジュールの法則

低電位$\phi$(P)の点Pから高電位$\phi$(Q)の点Qまで点電荷$e$を移動させるとき,外からなすべき仕事の量は,
$\displaystyle W
=
e[\phi (Q) - \phi (P)],$     (2.2.15)

である.逆に,高電位の点Qにある点電荷$e$が低電位の点Pに移動するときには,外部に(2.2.11)式で表される量の仕事をすることになる.

強さ$I$の電流は単位時間当り$I$の電荷を運ぶから, $\Delta\phi = \phi({\rm Q}) - \phi({\rm P}) > 0$の電位差のある導体上の二点間で,単位時間に

$\displaystyle W
=
I \Delta \phi,$     (2.2.16)

の仕事をすることになる.この仕事が導体の二点間に発生するジュール熱として現れる.すなわち,
$\displaystyle W
=
I \Delta \phi
=
RI^{2}
=
{(\Delta \phi)^{2} \over{R}},$     (2.2.17)

で与えられる.(2.2.12)式あるいは(2.2.13)式を「ジュールの法則」という.

ジュールの法則を近接作用の立場に適合した形に変形しよう.導線の断面積$\Delta S$,その長さ$\Delta x$の微小導体に(2.2.12)式を適用する.単位時間当り,単位体積中に発生する熱量を$w$とし,電流の方向と電位の上昇方向が反対向きであることを考慮すると,

$\displaystyle w \Delta S \Delta x
=
-i \Delta S \Delta \phi,$      


$\displaystyle w
=
\mbox{\boldmath$i$}(\mbox{\boldmath$r$}) \cdot
\mbox{\boldmath$E$}(\mbox{\boldmath$r$}),$     (2.2.18)

を得る.

Masashige Onoda 平成18年4月15日