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: 物性評価 : 実験方法 : 粉末X線回折

電気抵抗測定

ペレット試料を整形し,四端子法により電気抵抗の測定を行う.四端子法の概略図を図16(a)に示す.試料を市販のプリント基板の一部にGEワニスを用いて固定し,銀ペースト(デュポンNo.4929)を用いて金のリード線($\phi = 20$ [$\mu$m])を接着させる.

試料の電気抵抗率$\rho$は以下の式

$\displaystyle V = IR$     (3.5)


$\displaystyle R = \frac{\rho l}{S}$     (3.6)

から求められる.ここで長さ$l$,断面積$S$(厚さ$\times$幅)は図16(a)にあるように試料の大きさを表すパラメーターであり,試料が直方体であると近似している.電流$I$は電流源の設定値であるが,標準抵抗R$_{\rm s}$に生ずる電圧をチェックし設定通りの電流が流れているかどうか常にモニターしておく必要がある.
※出来上がった試料はかなり硬く整形が困難な場合ある.その場合,完全な直方体でなくても構わない.
※本来金属的な電気抵抗を測定する場合,試料をかなり薄く整形するべきだが今回の測定では特にこだわらなくて良い.
※上記の電圧・電流のチェックをオーミックチェックと呼ぶ.

図: 電気抵抗測定法:fig-zs1.5 四端子法の概略図;fig-zs2 測定システム
[]\includegraphics[height=50mm]{4tansi2.eps}                  []\includegraphics[height=50mm]{teikou2.eps}
電気抵抗自動測定装置の概略図を図16(b)に示す.この装置は直流法,直流反転法の2種類の測定が出来るが,ここでは試料に生じる熱起電力の影響,電圧計の零点のずれを打ち消すために各測定点で電流反転を行い,電流を反転する前に2点,電流を反転した後に2点,計4点の平均を測定値とする.温度はAu(0.07%Fe)$-$クロメル熱電対により測定する.液体N$_{2}$を寒剤として用い,寒剤の自然蒸発及びポンピングとヒーターを用いて温度制御を行う.ここでは試料に対して,66〜300 [K](液体窒素温度から室温領域)の温度範囲で降温過程,昇温過程共に測定を行う.
※LN$_{2}$はデュワーと呼ばれる容器に入れて使用するが,デュワーはガラス製なので取り扱いに充分注意すること.
※今回の測定では,室温でオーミックチェックを行い,あらかじめLN$_2$で冷却したデュワー中に試料を入れることで測定を行う.


Masashige Onoda 平成18年4月11日