物理学BI

1学期 第2回 戻る 次へ

参考書
「電磁気学I」 1 電荷 (1-26頁)
「物理学の基礎[3]」 22 電荷 (1-14頁)
「物理学 III」 23 電場 (646-654頁)

1-1 電気の発見

琥珀の不思議

  1. 動物の毛皮でこすると特別な状態になる  <帯電現象>
  2. 歴史  古代ギリシャにさかのぼる
    タレスも知っていたが、理由は分からなかった
  3. 類似の現象  <磁気> ¶ 磁石(古代中国)
  4. 科学としての出発  1600年代から

摩擦との関連

  1. 1つの考え  「摩擦によってある物質(エレクトロン)が生成」
  2. ελεκτρον (ギ:琥珀) ¶ electron   (英:電気/電子)
  3. 2種類の電気  「正電気と負電気」

1-2 摩擦と電気

普遍的な現象

  1. 摩擦によって正反対に帯電  「一方が正、他方が負」
  2. 擦り合わせる物質の性質の違いで正/負が決まる  <帯電列> 参照
    ¶ 電気の逃げ場がないようにすると、接触するだけでも帯電

身近にあるさまざまな事例

  1. 床と靴との摩擦
  2. 自動車と大気の摩擦
  3. パイプと絶縁性液体/気体の摩擦

¶ 病院の手術室の床や工場のパイプなど
    <導電性を持たせて帯電を防いでいる>

1-3 電気の本性

電気を担うもの

  1. 2流体説と1流体説(デュフェイ)
    ガラス電気と樹脂電気」
    ¶ 両者がバランスして電気的に中性となる
  2. 現在の説  「電子が負電気、陽子または原子核が正電気」
  3. 単位はクーロン(C)  「1Aの電流が流れる点を1秒に通る電荷」
    ¶ MKSA単位系で、1 C=1 A·s (アンペア×秒;組み立て単位)

物質の構成子と電気

  1. 電気は物質の構成子と一体; 電気だけ取り出すのは不可能
  2. 電荷の謎-その1:電荷の量子化(とびとびの値を持つ)
    • 電気素量  e=1.60210× 10-19C
    • 電荷は電気素量の整数倍  q=ne;  n=0,± 1,± 2,...
      ¶クォークの電荷  (分数)×e
  3. 電荷の謎-その2:電荷の保存
    • フランクリンが提唱した仮説
    • 巨視的な物体間でも素粒子反応でも実証
    • 運動量の保存やエネルギーの保存に並ぶ普遍法則

1-4 クーロンの法則

クーロンによる実験的発見

  1. 帯電した小球間に働く力(<電気力>)を捩れ秤で測定
    ¶ 捩れ秤は、ロッドの捩れを利用し、微小な力でも精度よく測れる
  2. 距離rについての逆2乗法則

  3. ニュートン力学が破綻する量子世界でも、 クーロンの法則はそのまま

逆2乗法則の謎

  1. ぴったり逆2乗?
    ウィリアムス他の実験(1971)

    10-16の精度でOK!
    ¶ クーロンによる実験(1785)の精度は4× 10-2 だった
  2. 重力の法則との類似
  3. 現代の場の理論(ゲージ場理論)で説明
電磁気学のためのベクトル入門1

宿題

提出フォーム

1から4の組み合わせの物体を互いに擦り合わせた。どのように帯電するか?

  1. 琥珀と毛皮
  2. ガラス棒と絹の布
  3. 鉄の棒とサランラップ
  4. ビニールタイルの床と革靴
ヒント:各物質の素材を調べて、それを 帯電列の上に置いてくらべる

1から6の物質の電荷はそれぞれ素電荷eの何倍か?

  1. uクォーク
  2. 電子
  3. 陽子
  4. 中性子
  5. 炭素原子核
  6. 炭素原子
ヒント:理科年表などを参照する

ベクトルA=(1, 1, 1)、B=(1, 0, 2)のとき、次の計算 をしなさい。

  1. A+B
  2. 2A
  3. B/2
  4. -B
ヒント:ベクトル解析の参考書などを参照する