物理学BI

1学期 第3回 戻る 次へ

参考書
「電磁気学I」 2.電束 (27-51頁)
「物理学の基礎[3]」 23 電場 24 ガウスの法則 (15-52頁)
「物理学 III」 23 電場 24 ガウスの法則 (654-693頁)

2-1 遠隔作用と媒達作用

作用についての日常的な経験

  1. 力を及ぼすには何らかの媒介が必要  <媒達作用>
    ¶ 例えば、糸で引く、棒で押す、風をあてるなど
  2. 電気力は反例?  <遠隔作用>
OHP-1 OHP-2

統一的理解「全ての作用は媒達作用」

  1. 空間も媒質となる
    ¶ 空間(=真空)自体の性質
  2. 電磁波がその証拠
    ¶ エーテル(ファラデー、1987年)は存在しない!
OHP-3

その他の例 -万有引力の場合-

  1. ニュートンは媒達作用と考えた(?)
  2. アインシュタインは媒達作用と考えた(一般相対性理論)
  3. 重力波の存在の有無?
    ¶ 決定的、しかし、未解決!

2-2 電場

場とは?

  1. 物理量が場所の関数として与えられている 空間
    ¶ 例えば、流速場、重力場など
  2. 電気力も場を形成  <電場>
OHP-4

電場の定義

  1. (x, y, z)にある試験電荷(1C)に働く力から求める
  2. ベクトル場  ¶ 大きさと方向を持つ
  3. 単位[N/C]  ¶ 単位電荷あたりに働く力
OHP-5

点電荷の作る電場

  1. 点電荷+qの作る電場ベクトル

    ¶ クーロンの法則; 距離rにある単位電荷あたりに働く力
  2. 重ね合わせの原理
    • n個の電荷の場合
      -ベクトル和-
    • 連続分布した電荷の場合
      -ベクトルの積分-
OHP-6

電気力線

  1. 正電荷(始点)から出て 負電荷(終点)に向かう曲線
  2. 電場ベクトルは電気力線に接する
  3. 互いに決して交わらない曲線  ¶ 無数にある
  4. 流速場との類似性  <流線>
    ¶ 何かの流れをイメージすると 理解しやすい

2-3 電 束

電気力管

  1. 仮想的な管  <閉曲面sを通る電気力線の集まり>
  2. 管の中には無数の電気力線が通る
  3. 電気力線は管の外には出ない

電束dΨ

  1. 微少面積dSを通る電気力線の<束>
  2. dΨ=ε0×(電場の法線方向への投影)×dS
  3. ε0×(電場の法線方向への投影)の意味
    ¶ 単位[C/m2] ; 単位面積あたりの流量に相当

点電荷に基づく電束  -求め方-

  1. 1つの電荷の場合
    電場ベクトルを計算し、微少面積dSを通る電束を求める
  2. 多数の電荷の場合  <重ね合わせの原理>
    個別の電荷毎に求めた電束の和をとる
  3. 連続に分布した電荷の場合  <重ね合わせの原理>
    各点近傍の微少体積中の電荷による電束を求め、積分する
OHP-7

立体角ω

  1. 半径rの球面上の面積Sを中心から見たときの広がり
  2. ωは面積Sとr2の比 (単位[ステラジアン])

    ¶ 全球面の立体角は4πステラジアン
  3. 相似変換しても変わらない量
  4. 中心に点電荷+qがあるとき、電束dΨ はωに比例

2-4 ガウスの法則

物理法則の微分形と積分形(ニュートン力学の例)

  1. 微分形:  運動方程式 F=mα  ¶ 力=質量×加速度
  2. 積分形:  保存則  Δp=FΔ t  ¶ 運動量の増加=力積
  3. 同じ法則の別の表現

クーロンの法則の場合

  1. 微分形: ポアソンの方程式
  2. 積分形: ガウスの法則

ガウスの法則

  1. 閉曲面Sについて、

    ここでnはSの外向法線
    出て行く電束の総和=内部の電荷の総和
OHP-8
電磁気学のためのベクトル入門2
電磁気学のためのベクトル入門3

宿題

提出フォーム

クーロンの法則の応用

1と2の力をそれぞれ求めなさい。
  1. 水素原子中の電子と陽子の引き合う力
    ヒント:電子の軌道は半径 0.53× 10-10mの陽子を中心にした円としなさい
  2. NaCl分子中のNa+とCl-が引き合う力
    ヒント:Na+とCl- とCl-の距離は2.4× 10-10mとしなさい

電場ベクトルの計算

前問の結果を使って、1と2の位置での電場ベクトルをそれぞれ求めなさい
  1. 水素原子中の電子の位置
  2. NaCl分子中のNa+の位置

ガウスの法則の応用

点Oを中心とする半径Rの球面に電荷が一様に分布している。球面上の全電 荷はQである。
  1. 点Oを中心とする半径r(>R)の球面を考える。球面上の点Pにおけ る電場ベクトルをE、球面の微小面積素片をdSとして、ガウスの法 則を書きなさい。
    ヒント:点Pにおける、球面の法線ベクトルは r/rとなる。
  2. 電場ベクトルEを求めなさい。
    ヒント:電荷分布が点Oに関して球対称なので、 電場ベクトルEは球面の法線方向を向き、距離rだけの関数となる。
  3. r<Rの点P'での電場ベクトルE'を求めなさい。
    ヒント:同様に、点Oを中心とする半径r(<R) の球面についてガウスの法則を応用する。ただし、内部の全電荷はゼロ。

ベクトルの演算

ベクトルA=(1, 1, 1)、B=(1, 0, 2)について、次の計算 をしなさい。
  1. ABのスカラー積
  2. 起点を重ねたときのABの角度の余弦(コサイン)
ヒント:ベクトル解析の参考書などを参照する