: 有限温度への拡張
: BCS理論
: 励起状態とエネルギーギャップ
目次
この理論はハートリーフォック近似を拡張したものである7.1.これまでの仮定を含めて()式をもう一度書く.
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(7.11.107) |
ここで以下の変換を考える.
これらを逆に解くと,
,もフェルミの交換関係を満たす.
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(7.11.110) |
(7.11.29)式を(7.11.27)式に代入し,
,で表す.たとえば,
などと変形する.相互作用の項の計算は面倒であるが,丁寧に行えばできる.結果はハミルトニアン全体として,
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(7.11.111) |
ここで,
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(7.11.112) |
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(7.11.113) |
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(7.11.114) |
は4次の項であり多くの項を含んでいるが,後に必要になる項だけを書くことにする.
基底状態はについての真空状態,
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(7.11.116) |
であるとする.エネルギー期待値として残るのは,
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(7.11.117) |
である.この式を最小にする
,
は,変分法により
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(7.11.118) |
である.(7.11.38)式は,(7.11.34)式の = 0という条件に他ならず,これは,ハートリーフォック近似では2次の項の非対角項がゼロになることを確認したことにすぎない.
(7.11.38)式は,(7.11.8),(7.11.9)式と比べれば,
の代わりに
が現れているだけで,あとは同じである.この余分な項はBCSでも小さいものとして無視しており,この方法はBCSと全く同等であることがわかる.これを無視すれば,()式の解は(7.11.10),(7.11.10)式と同じである.
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(7.11.119) |
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(7.11.120) |
(7.11.39),(7.11.40)式を(7.11.33)式に代入すると,
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(7.11.121) |
を得る.こうしてBCS理論はハミルトニアン形式で書き直された.種々の物理量は(7.11.29)式のボゴリューボフ変換によって
,で書き表すことができるので,計算も形式的にできる.
: 有限温度への拡張
: BCS理論
: 励起状態とエネルギーギャップ
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Masashige Onoda
平成18年4月7日