: 第8回演習問題
: 電流と磁場
: 磁束密度,ローレンツ力
前節で導いたローレンツ力に基づく実験の一つにホール(Hall)効果があり,これは固体物理学の研究3.1において非常に重要な情報を与える.実験は図3.4のように行われる.
電場は方向に伸びた伝導体にかかり,電流密度が流れている.磁場は正の方向にかかっている.このときローレンツ力 = -が働く.このために電子は負の方向に偏る.電子がそこにたまるにつれて,電子の運動とその蓄積を妨げるように方向に電場ができる.平衡状態では,横電場はローレンツ力とつり合い,電流は方向にのみ流れる.すなわちは磁場と電流に比例する.ここで,
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(3.3.7) |
で定義される量をホール係数と呼ぶ.の符号により電荷の符号を決めることができる.
もう少し詳しく見てみよう.任意の成分,をもつ電場と,軸に沿った磁場とがかかっている場合の電流密度,を求める.電子に働く力は(3.2.6)式でを-に置きかえればよく,電子1個当りの運動方程式は,
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(3.3.8) |
となる.ここでは電子の質量,は緩和時間を表す.定常状態では,
となる.単位体積中の自由電子数をとし,上式の両辺に
をかけると,
を得る.ここで横電流 = 0とおけば,
となり,自由電子数の濃度を求めることができる.
: 第8回演習問題
: 電流と磁場
: 磁束密度,ローレンツ力
Masashige Onoda
平成18年4月15日