: 第16回演習問題
: 波動
: 第15回演習問題
波は回折する.ここでは,フラウンホーファー回折を取り上げて,光の回折について考えよう.これは,光源も観測者も遮蔽から無限遠にある場合の回折7.1をさし,回折格子その他で実用上重要である.
幅が
で,極めて細長いスリットに,波長
(
)の平行光が垂直に入射する.
入射光の方向と
だけ傾いた方向に平行に進む回折光を考えよう.平行光ならば,無限遠でしか合致しないが,現実にはレンズを用い,その焦点に回折光を集めることにより,回折光の干渉を観察することができる.この場合,図7.16のA
B
からPまでの光学距離はどの回折光に関しても等しい.したがって,A
BとA
B
で挟まれた部分における各回折光の光路差が問題になる.BB
の長さ
は,
A
B間を
等分すると,各々の区分帯を通る回折光には
/
ずつの光路差がある.すなわち,A
Bの位置では同位相でもA
B
の位置では順に,
の位相差が生じる.
光学距離の最も短い,A
とA
の区間から出てPに達する光の振動
を,
 |
|
|
(7.5.76) |
とおく.ここで
は幅
のスリットから傾き
の方向に出る全回折光の振幅である.
番目の区分帯から出る波のPにおける振動は,
となる.すべての回折光のPにおける振動は,
で与えられる.積分表示にするために,
とおくと,
P点における明るさ
は,
の振幅の2乗に比例するから,
![$\displaystyle I
\propto
\left [ {\sin (\pi s/\lambda) \over{(\pi s/\lambda)}} \right ] ^{2}.$](img1042.png) |
|
|
(7.5.79) |
これから
の極大・極小を求める.
図 7.17:
回折光の明るさ
と傾き角
の関係
|
ここで,
とおけば,
より,
- 極小は
= 
(
=
1,
2,
)のとき,すなわち,
 |
|
|
(7.5.80) |
で,
= 0.
- 極大は
= 0または
= tan
を満たす
のとき,すなわち,
 |
|
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(7.5.81) |
回折光の明るさ
と傾き角
の関係を図7.17に示す.
: 第16回演習問題
: 波動
: 第15回演習問題
Masashige Onoda
平成18年4月15日