: 同時刻の相対性
: 特殊相対論への道
: エーテル仮説とマイケルソン-モーリーの実験
ある瞬間SがSに原点も座標軸も一致したとし,そのとき光がSからみてすべての方向にという速度で伝わるとする.光の波面はSの原点Oを中心とする球面になるが,これは,
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(8.2.5) |
で表される.この式をガリレイ変換によってSからみた記述に直せば,
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(8.2.6) |
となり,原点が-にある球面となる.しかし,実際には,
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(8.2.7) |
が成り立たなければならない.いま,
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(8.2.8) |
とおこう.S,Sは慣性系でどちらからみても他方は一定の速度で動くから,Sに対して一様な直線運動はSに対しても一様な直線運動でなければならない.すなわち,(, , , )についての1次の方程式は,(, , , )についても1次の方程式でなければならない.したがって,(, , , )と(, , , )との間の変換は1次変換でなければならない.
光速度不変の原理により, = 0ならば = 0で,その逆も成り立つから,
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(8.2.9) |
の形でなければならない.ここでの定数は(, , , )にも(, , , )にも依存しない.もし依存すると,場所と時刻によって空間・時間の性質が違うことになってしまう.また空間は方向性がないからはS,Sの相対速度の方向にもよらない.相対性原理によればSに対して成り立つことはSに対しても成り立つから,
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(8.2.10) |
(8.2.5),(8.2.6)式から,
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(8.2.11) |
= 0の場合を考えれば = であるから, = 1でなければならない.このようにして,
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(8.2.12) |
こうして,を不変に保つような1次変換を求めることになる.上で行った方法と同様の方法で,
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(8.2.13) |
が得られる.(8.2.8)式は,
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(8.2.14) |
Sの原点O( = 0)のSに対する運動は = であるから,
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(8.2.15) |
でなければならない.変換のもう一つの式として,
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(8.2.16) |
とおく.
SからみたOの運動は,
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(8.2.17) |
で与えられると仮定しよう.一方,Oは = 0で与えられるから(8.2.11),(8.2.12)式より,
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(8.2.18) |
これと(8.2.13)式とを比べて = となる.それゆえ,
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(8.2.19) |
これらを(8.2.10)式に代入して,
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(8.2.20) |
,,の係数を比較して,
上の第1,第3式から,
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(8.2.21) |
が得られる.
= 0で 0に対して 0になるように,をとると 0でなければならない.したがって,
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(8.2.22) |
これで(, , , )と(, , , )の関係を与える変換の式が得られた.
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(8.2.23) |
これらを,,,につき解いて,
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(8.2.24) |
が得られる.(8.2.19),(8.2.20)式をローレンツ変換と呼ぶ8.2.これらの式で とすればガリレイの変換が得られる.(8.2.19),(8.2.20)式から導かれるS系での速度とS系での速度の関係は,
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(8.2.25) |
: 同時刻の相対性
: 特殊相対論への道
: エーテル仮説とマイケルソン-モーリーの実験
Masashige Onoda
平成18年4月15日