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相関電子系 -- 高温超伝導関連系

超伝導転移温度 $T_{\rm c} \simeq 40$ [K]をもつ(La$_{0.925}$Sr$_{0.075}$)$_{2}$CuO$_{4}$の構造決定7を皮切りに種々の高温超伝導体の構造が報告された.Cuイオンのネットワークが正方格子で表される点が共通の特徴であり,CuとOでできた平面にホールが存在する.このホールはCu$^{2+}$の一つに捕えられて束縛状態を作る.この状態はCu$^{2+}$のスピン $S = \frac{1}{2}$とホールのスピン $S = \frac{1}{2}$が反強磁性的に結合したスピン一重項状態であり,Cu$^{2+}$に比べてホールによる過剰の電荷を持つ.すなわちこの束縛状態の運動は電流を与える.またCu$^{2+}$のスピンは隣接イオン間で反強磁性相互作用を及ぼしあうため,高温超伝導の基本的性質は正方格子上のスピンと電荷の二つの自由度の問題として捉えられるだろう.二個以上のホールが同時にCu$^{2+}$に束縛される状態は電子相関の効果により排除され,この問題を解くために多くの論文が発表されている.

電子相関の問題は,単純な構造をとるぺロブスカイト型酸化物系を舞台に精力的に行われた.SrVO$_{3}$8,Ce$_{1-x}$Sr$_{x}$TiO$_{3}$,CeTiO$_{3+\delta}$9等の代表的物質があることを記しておこう.


Masashige Onoda 平成18年4月10日