フェムト秒プログラマブル波形整形

光パルスは回折格子を用いて時間軸から周波数軸へフーリエ展開できます。そこで、周波数軸上で位相と振幅をプログラミングすることにより任意のパルス波形を合成することができます。このことを利用したのがフェムト秒プログラマブル波形整形です。ここで、直交する二つの光の偏光成分を独立に制御すること、「ベクトル波形整形法」により様々な可能性が生まれます。最近開発されたベクトル波形整形法により、光の電場ベクトルの時間発展を任意にプログラマブルに制御することが可能になりました。

これにより、たとえば光子のスピン、すなわち偏光状態を自在に制御することが可能となりました。これまで偏光状態は時間に対して一定か、ゆっくりと変化する場合について実験が行われてきましたが、その制限がなくなりました。これによって、試料中に偏向状態の制御されたTHz波を照射することが可能となりました。


下図に示すようにフェムト秒モードロックチタンサファイアレーザーからの光パルスを回折格子(grating)で分散させた後、空間光変調器(SLM)によりスペクトル成分毎に位相を制御して、光パルスの偏向の時間発展をプログラマブルに制御しています。




SLM





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