量子効果を活用すると、電子の流れを原理的に一方通行にすることが可能です。そうすると、発熱の原因となる逆方向へ進む電子を皆無にすることが可能となります。これは、通常の電線を通る電子が前へ進む電子と後ろへ進む電子とが混在した状態であるのと大きく異なります。一方通行の流れをつくる量子効果として、量子ホール効果、量子スピンホール効果、量子異常ホール効果等が挙げられます。これらの現象は欠陥、不純物等からトポロジカルに守られているため、原理的に擾乱に強いという特徴を持ちます。
このような量子効果が活用したデバイスにより、発熱が抑制され消費電力の低減につながると期待されています。現代ではエネルギー消費の大きな割合をスマートフォン等の情報処理機器が占めるため、エネルギー問題の解決に貢献すると期待されています。