物質の性質は多彩だ.「電気を通すもの,通しにくいもの」,「熱を伝えるもの,伝えにくいもの」,「色がついているもの,透明なもの」など,様々な分け方がある [ref1].ここでは磁気的な観点から固体物質の性質を分類してみよう.後で見るように,磁気的性質あるいは磁性は固体中の電子状態と密接に関連しており,物質科学を研究する上で非常に重要な情報を含む(図1).本実験は,力学天秤による磁化測定法--ファラデー法--を学び,典型物質に対して表1に掲げる磁気的性質を定量的に知ることを目的とする1 [ref1-ref3].実験は簡便な内容だが,得られた実験結果を詳細に解析することにより,量子力学や統計力学の理解が十分に深められるだろう.
テーマ | 内容 | |||
第1回 | 物質の磁性 | 解説 | ||
第2回 | 磁気測定の原理 | 電磁石の特性 | ||
第3回 | 種々の磁化曲線I | 金属強磁性相,酸化物絶縁体の常磁性相 | ||
第4回 | 種々の磁化曲線II | 金属常磁性相,強磁性相近傍の金属常磁性相 | ||
第5回 | 常磁性体の性質I | キュリーワイスの法則 | ||
第6回 | 常磁性体の性質II | パウリ常磁性 | ||
第7回 | 相転移 | 常磁性![]() |
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第8回 | 高温超伝導 | 酸化物高温超伝導体のマイスナ−効果 | ||
ミクロな測定手段 | 自由ラジカルの電子スピン共鳴 | |||
第9回 | 検討 | セミナー形式による演習問題の検討 |